空唄 ~君に贈る愛のうた~
「か、の……んっ……」
掠れた声が、自分の名前を呼ぶ。
「何っ、お兄ちゃん?」
ゆっくり頭をこちらに向けようとするだけで、お腹からの出血がひどくなる。
「いや、お兄ちゃんっ、動かないでっ!!」
そう叫んで、お兄ちゃんの手の上から自分の手を重ねる。
これ以上血がでないように。
なんの足しにもならないのはわかっていた。
けれどその時の私は、少しでもお兄ちゃんの命をもたせようと必死だったんだ。
「かの、ん……」
もう一度、苦しそうに振り絞って名前を呼ぶ。
「うん、何?花音はここだよ、お兄ちゃんのそばにいるよ」
お兄ちゃんは視点のあわない顔をこちらに向けて、淡く微笑んだ。
たぶん、もう目もあまり見えてなかったんだと思う。
「かのんっ、泣くなよ……」
お兄ちゃんの手が力なく私を包む。
いつの間にか私の顔は、涙でぐしょぐしょになっていた。
掠れた声が、自分の名前を呼ぶ。
「何っ、お兄ちゃん?」
ゆっくり頭をこちらに向けようとするだけで、お腹からの出血がひどくなる。
「いや、お兄ちゃんっ、動かないでっ!!」
そう叫んで、お兄ちゃんの手の上から自分の手を重ねる。
これ以上血がでないように。
なんの足しにもならないのはわかっていた。
けれどその時の私は、少しでもお兄ちゃんの命をもたせようと必死だったんだ。
「かの、ん……」
もう一度、苦しそうに振り絞って名前を呼ぶ。
「うん、何?花音はここだよ、お兄ちゃんのそばにいるよ」
お兄ちゃんは視点のあわない顔をこちらに向けて、淡く微笑んだ。
たぶん、もう目もあまり見えてなかったんだと思う。
「かのんっ、泣くなよ……」
お兄ちゃんの手が力なく私を包む。
いつの間にか私の顔は、涙でぐしょぐしょになっていた。