空唄 ~君に贈る愛のうた~
重い瞼をゆっくり開けると、太陽が眩しくて目がくらみまた閉じる。


「また夢……か」


あの女の子に出会ってから、よく夢をみるようになった。

まだ生きていた頃の俺の夢……

なくしていた記憶のパズルを埋めるように、少しずつ思い出してく。

まぁ、今日は死ぬ夢だったけどね。


でもこの夢たちのおかげで、わかったことがある。

俺は……

あの女の子を知っている。

そして、何かを伝える為に“ここ”にいるんだ。


そう、何かを。

けれどそれは、まだ思い出せない。

そして、最近よく考えることがある。


―全部の記憶を完璧に見つけだした時、俺は一体……?





「よーう、
遥ったらっ!」


気づいたら君がいて、だけど俺は曖昧な笑顔しか返すことしかできなかった。

< 76 / 141 >

この作品をシェア

pagetop