空唄 ~君に贈る愛のうた~
バイトの前の2時間くらいを遥と過ごす。

それが私の毎日の日課になりつつあった。

特に何かを話すわけもなく、けど一緒にいると
どこか冷えていた自分の心が、溶けていく気がする。

そのおかげか、最近は両親との溝も埋まっていっていたり。



今日もいつも通り、遥に会いに行くと
難しそうな顔をして考えこんでいた。


―理由を訊きたいけど、そんな雰囲気じゃないしなぁ……


いつも笑っている遥が、真剣な顔で悩んでいる……
きっと、なにか大きな問題なんだろうと思う。

んー、と頭の中で唸る。


「ねっ、花音」

「へっ?」


ふいに遥が名前を呼んだので、びっくりした声で返事した。

やっぱりどこかいつもと違う遥に、なんだかどぎまぎしてしまう。

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