空唄 ~君に贈る愛のうた~
ねぇ、なんで?

そう言う君の声は、なんでそんなに胸を締め付けるの?


「……なーに、泣いてんだよ?」


気づいたら花音の目からは、涙が一筋こぼれ落ちていた。

無邪気に笑いながら、遥は私の涙を拭う。

ふと絡み合う視線。

もうわかってた。

この気持ちに嘘はつけないって――

遥はやさしく花音の頬に触れると、ゆっくり自分の顔を近づける。

花音もそんな遥を、受け入れていた。

言葉には出さなくとも、お互いにわかりあえてた。

そっと私の唇に触れた唇。

触れるか触れないかの、淡いキス。

うれしくて、でも、せつなくて。

繋いでいた手をきゅうっと握る。

すると、遥は痛いくらい強く握り返してくれた。







はじめてのキスは甘くてしょっぱい、涙の味だった。


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