空唄 ~君に贈る愛のうた~
「それだけ、お前にとって大きな存在なんだな」


そう言う一誠の言葉に、大きく頷く。

全くその通り。

遥は私の中で、どうしようもないほど大きな存在。

いなくなったら……って、考えるのもこわい。


「一度、そいつみてみたいなぁ~。そーだっ!今度連れてこいよ」


にかっと笑って言った一誠とは逆に、曇る花音の顔。


「無理だよ……」

「えっ?」

「無理なんだよ……」


言い終えると同時に涙がせきをきったように、流れ出す。

一誠が慌てて心配してきたけど、それに応えることもできなかった。


そう、無理なんだ。

どれだけ好きでも。

どれだけ想いあっても。

私たちが結ばれることは決してはない。

だって私は生きてて、彼は死んでるから。

どうしようもできない、その運命を呪った。



私の大好きな人は、いちばんそばにいるのに
いちばん遠い場所の人だから――……


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