空唄 ~君に贈る愛のうた~
「座りなさい」


リビングのドアを開けると、斗真がそう言いながら花音の席を指し示した。

言われた通り席に着くと、2人はお互いに顔を見合わせ頷くと
口を開いたのは由紀恵だった。


「花音。前、はるかくんって男の子のこと聞いてきたよね?」

「へっ?うん」

「あの時、言えなかったんだけど……」


そう言ってはなし始めたのは昔のはなし。

私が記憶にはない、幼い頃のはなしだった。

そうして私は衝撃的なことを知ることになる――……



「あのね、はるかくんって言うのは、花音が昔よく遊んでた男の子の名前なの」

「えっ……?」

「昔住んでた団地覚えてる?」

「うん」

「そこにはるかくんも住んでて、歳が同じだったのもあって、あなたたちはすぐに仲良くなった」


真剣にはなす由紀恵の言葉に耳を傾ける。

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