空唄 ~君に贈る愛のうた~
はるかくんは5歳の時、隣に引っ越してきて知り合った。

何をするにも一緒で、お兄ちゃんと3人でいつも遊んでいたらしい。

不思議なことに、お兄ちゃんとの記憶はあるのに
そのはるかくんのことはぽっかり抜けたように、思い出せていなかった。

そして、お兄ちゃんの事件があった次の日
はるかくんは隣町に引っ越してしまった。


「なんで引っ越しちゃったの?」

「それは、はるかくんの親が離婚して、はるかくんはお母さんに引き取られたからよ」


私が入院してた病院にも来てくれたらしいけど、私はショックで記憶を無くしてしまっていたので


『だれ?』


そのはるかくんが誰だか、全然わからなかったみたい。

その時は仕方なかったのかもしれない……けど、自分はあんまりにも残酷すぎる。


「ねっ、そのはるかくんは隣町のどこに住んでるの?住所とかわからない?」


一言謝りたくなって、由紀恵にたずねる。

すると、由紀恵は悲しそうに俯き、代わりに斗真がこたえた。


「落ち着いて聞くんだよ?」

「うん……?」


斗真の厳しい顔に躊躇いながらも花音は頷く。


「はるかくんは、






自殺したんだ……」

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