空唄 ~君に贈る愛のうた~
そして、その夏。

彼は飛び降りた。

学校の屋上から、なんの躊躇いもなく――




「私の知らないうちに、そんなことが……」


実際はなしをされても、誰だかわからなかっただろうけど。

それでも、私が彼にした仕打ちはひどいと思う。

『だれ?』なんて、言った自分を
それを今まで思い出せなかった自分を
なんだか悔しく感じた。


「それとね、実ははるかくんから送られてきてたの」


そう言いながら由紀恵は立ち上がり、引き出しから何かの束を持ってそれを花音の目の前に置いた。


「て、がみ?」


それは手紙の束だった。


「引っ越した後も、花音のことを気づかって手紙をくれてたの。本人に口止めされてて、言えなかったんだけど……」


止めていた紐をといて、いちばん上にある手紙に手を伸ばす。

自然と手が震えた。

少し黄ばんだ白い封筒をあけて、中のものを取り出す。

開くとそこには男の子らしい、少し汚い字でたくさんの言葉が綴ってあった。

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