空唄 ~君に贈る愛のうた~
「へっ、どどーゆこと?ファンタジー?」

「違うっ。リアルに」

「幽霊って、あの夏とかにたのしむ怖いはなしとかに出てくる、あれ?」

「そうだよ。くどいって」

「うそっ……」


予想通りの反応。


―やっぱり変な子って思われた?


しばらく経っても、なんの返事もしてこない歩美。


「おーいっ、歩美?」

「何それ……
詳しく聞かせて?」


そう言った歩美の声は予想外に真剣で、花音は


「歩美は信じるの?」

「当たり前じゃんっ!花音はあたしの大切な友だちだよ?信じるに決まってる。てか、あたし幽霊とか信じてるし?(笑)」


歩美が冗談っぽく言った言葉に、くすくすと笑いあう。


あぁ、そうだった。

歩美はこういう子だった。

いつもクールなのに、意外と人情脆くて。

私のこと、ちゃんと信じてくれる。

そんな歩美を私は疑ってしまった。


―歩美、ごめんね。


と、心の中で謝る。
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