空唄 ~君に贈る愛のうた~
それから私は歩美に今までのことを全てはなした。

出会った時のこと、

幽霊なのに触れ合えたこと、

キスしたこと、

気持ちを確信したこと……


はなし終えるまで歩美は相づちだけで、真剣に聞いてくれた。

それがうれしくて、あんなに躊躇していたのに
言葉がちゃんと出てきた。




「そっかぁ……」


全部を言った後、歩美は何か考えるようにそう呟くとしばらく沈黙に。


「歩美……?」

「あっ、ごめん。ちょっと考えてた」


はなしを聞いてもらえるだけで、かなり救われた部分もある。

1人で溜め込むには少し、重すぎたから――




「ねぇ、花音?花音はその男の子のこと……ほんとにすきなの?」



いきなりの問。

でも、その答えは決まってる。




「うん。すきだよ。
こんな気持ち、今までなかったってくらい。
恋なんてしたことなかった。
けど、こんなに胸が温かくなること、切なくて苦しい想いも。
教えてくれたの、あの人がはじめてなんだ」

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