空唄 ~君に贈る愛のうた~
「あたしは花音みたいな恋をしたことないから、無責任に言っちゃいけないのかもしれない。
でも、あたしは自分の心を信じてほしいと思う」


優しいのに、強く歩美は語りかけてきた。



私は

自分で信じなきゃ、なんて言いながら結局は自分のこと信じてなかった。

理由をつけてそれを正当化して――

逃げてたんだね。




「ありがとう……」


溢れ出してくる涙。

私こんなに泣き虫だったっけ。

今日だけで1年分の涙を流した気がする。


「よしよしっ、泣かないのっ!とりあえずその男の子に会いに行ってみな??」

「うん……そうする」


それから私が落ち着くまで電話をして切った。

ギターを手元に持ってきて、用意するのはいつものノートとペン。

ふと、窓の外に目をやると淡く、だけど確実に光る月が輝いていた。



私たちは、きっとお互い不安定で。

2人でいることで、居場所を求めあってたんだ。


―ねぇ、君が人間だったら何か変わった……?



はじめて知った恋は、

心が擦りきれそうなほど儚い恋。

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