空唄 ~君に贈る愛のうた~
今日の月は目を背けたくなるくらい輝きながら、星空の真ん中に居座っている。

太陽とは違う、淡い月の輝きの方がどちらかと言うと彼女に似合う。

一瞬、手で掴もうかと思ったけど……やめた。



そんなことをなんとなく考えながら、深くため息をついた。

さっき夢をみた。

そして、ずっと引っかかってた部分の記憶を思い出した。


「俺が伝えたかったことは、このことだったんだな」


我ながら他人事のように口から滑り出た言葉。

別におもしろくもないのに、乾いた笑いを漏らす。





生きていた頃のことを全部思い出した“今”。

自分のことは自分がいちばんわかってる。

残された時間はほとんどない。


「伝えなきゃな」


きっと伝えてしまったら、彼女とは本当に“さよなら”を告げることになるだろう。

でも……言わなきゃいけないんだ。

昔の俺と、今の俺がずっと想っていることを。





あしたはきっとさいご。

本当の意味で、さいごの日。

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