初恋 ―約束。―
葉月の病室の前。
あたしはドアに手をかけようとした。
〝好きな人〟
この言葉があたしの頭を支配する。
かぁぁぁっとまた頬が熱くなるのを感じた。
そのとき。
ガラッ!
勢いよくドアを開けられて、あたしは驚き以外のなんの感情もない。
「夏鈴!?そんなとこにいたなら早く言えよ!ビビったぁ!!」
「そっちこそ!もう歩いていいの?」
「当たり前だろ!明日退院なんだぜ?」
「そっかぁ…そうだねぇ!…ホントにごめんなさい…あたしのせいでこんな大怪我…」
「別に大丈夫だって!もう退院できるし…な?」
葉月は早くも泣きそうなあたしの頭を優しくなでた。