初恋 ―約束。―


「…お疲れ」

そういってにこっと笑った葉月。

あたしの胸はきゅん、とときめく。



「じゃ、次はひき肉をパックから出して。そのボウルに入れて。で、この卵の黄身と相がとか…まぁここら辺にある奴?を混ぜて。」

「はいっ!!」


「ねばりけが出てピンクになるまで。」


「はいっ!!」



まともにできたよ~


「お、うまいうまい♪」

「ホントに…?」


「てかなんで泣きそうなんだよ」

「だって…あたし料理苦手で…」

「…別に才能とかそういうのじゃなくて練習すればできるし?大丈夫じゃね?」

「……そういうもんかな…?」

「そうそう!別に料理ができないからって死ぬわけじゃねーしさ。大丈夫」



そういってわしゃわしゃとあたしの頭をなでてくれる葉月はやっぱり優しくて。


あたしは必死に溢れそうになる涙をこらえた。







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