初恋 ―約束。―
ぷぅっとほほを膨らませるみき。
「ばーか」と笑う葉月。
胸がずきんといたんだ。
あたしが二人の会話にも入れずぼーっとしてると、
「まだ?おいしそうなにおいするね」
「…うん」
「…夏鈴ちゃん、ねぇねぇ、あの二人お似合いだね!」
「…そ…だね……。…あれ?なんか目、赤くない?」
「さ、さっきから玉ねぎのせいか目が痛くてっ」
「そっか。お疲れ様。洗面所は廊下のつきあたりだよ。目、洗っておいで?」
「うん…ありがと」
あたしは逃げるようにその場を離れた。
そそくさと逃げたあたしは、
瑛也君が、「葉月は諦めてね、夏鈴ちゃん♪」と、
嫌な笑みを顔に浮かべて言ったことを
知らなかった――――。