初恋 ―約束。―


「…悪かったよ!もうしないから、また一緒に帰ろうね♪夏鈴ちゃんッ♪」


先輩はあたしの返事も聞かず、「はいよ」、と葉月に荷物をすべて渡すとどこかへ行ってしまった。


「…嵐みたいな人だね」


ふぅ。と瑛也君がため息をついた。




「そうそう、瑛也。〝僕たちの夏鈴ちゃん〟じゃなくて〝俺の夏鈴〟だから」

「え?何言ってるの?遠慮して〝僕たちの〟にしたのに?」

「はぁ!?」

「いや、僕も〝僕の夏鈴ちゃん〟って言いたかったよ?でもかわいそうな弟の事を考えて…」


「瑛也ぁ…いくら兄でも今日だけは…!!殴るぞおらぁッ」


葉月…?瑛也君…?


「あっ、あのっ、ふたりともっっ…」


あたしがケンカはやめてって言いかけたところで


「「夏鈴(ちゃん)は黙ってろ(て)!!」」


振り向くタイミングまでバッチリだ。


こんなときだけ双子面されてもっ…(-_-;)






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