初恋 ―約束。―
声がした方を振り向いた。
葉月だった。
「はづ…!?」
あたしが名前を呼ぼうとすると、葉月は「なにも言うな」と口パクで言った。
「桜田ーー!早く夏川に教科書返してやれー!ーーたくお前はいつもいつもー!!」
結局葉月は1時間ほとんど怒られていた。
「すごいねっ!葉月君って優しいね!」
「ねー。ちょっとみなおしちゃったぁ」
「でもさ、夏鈴!ずるいよね」
「そぅそぅ!みきと夏鈴っていっつもあの二人と一緒だもんねー」
「ほら、ファンクラの会長…!夏鈴に近づいてるらしいし!」
「こわー」「あの人尋常じゃないもんねー」
「…///」
「照れるな、夏鈴」
みきがにやにやと笑みを浮かべながらあたしを小突く。