初恋 ―約束。―
僕のことを好きでいてくれる人はたくさんいた。
愛ちゃんやみきちゃんが僕のことを好きなのは知っていた。
そのほかにもたくさん。
でも夏鈴ちゃんへの思いの方が強すぎて、相手なんてしてられなかった。
罰があたったのかもしれない。
「瑛也君」
後ろから声を掛けられてどきりとした。
「な、なに?」
「私♪」
「萌ちゃん…?」
「葉月と夏鈴…くっついちゃったね。」
「あぁ、うん。」
今出されたくない話題…。
「もう諦めてたんだ。いやがらせした時から」
「いやがらせ?…夏鈴ちゃんに?」
「そんな怖い顔しないでよ。ちょっと、ね?」
萌ちゃんは親指と人差し指で小さな隙間を作って、ウインクした。
「夏鈴ちゃんは…傷ついた?」
「大丈夫。葉月が慰めてた。もう気にしてないっぽい。」
萌ちゃんはにこりと僕に向かって笑うと、
「最後にさ、いやがらせ、しに行こうか。」
「はい?」
「邪魔、しちゃお?」
彼女の笑顔はなんだか吹っ切れていて、
いたずらっ子の無邪気な笑顔みたいで、魅力的だった。