初恋 ―約束。―
でも、「大人の事情」であたしは家に帰らないといけなくなった。
泣きながらそのことを伝えると〝あの子〟は「そっか」とだけ言って、
クローバーモチーフのネックレスをあたしにくれた。
「花ことばはね、〝約束〟。」
「やくそく?」
「うん。約束。また大きくなったら遊ぼうね。絶対だよ。」
「夏鈴?帰るわよーっ」
「…はぁい!!!」
「…ぜったいまた会えるよね?」
「うん、会えるよ。じゃぁ〝またね〟。」
あたしはお母さんに、
「夏鈴?どうしたの、ニコニコして。あらっ?そのネックレス…すごくかわいいわね。誰からもらったの?」
「秘密♪」
「ふふっ、お母さん気になるなぁ」
「約束したの。また遊ぼうねって。そのしるしなんだよ。」
「あらっ♪まぁ…。またそのこと会えるといいわね。」
「うん」
そういって、あたしは寝てしまった。