初恋 ―約束。―
「ねぇ、愛なんでしょ?」
あたしが唐突にそういうと愛の顔がサァッと真っ青になった。
「ど…して…」
「だって、あたしとみきは片時も離れてなかった。あたしのことずっと見てた愛なら分かるよね?でもね、あたしからみきが離れた時が一度だけあるの。」
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「ごめーんっ夏鈴っ!葉月!瑛也!委員会があるから3人でお弁当食べててっ」
「はーい」「分かった」「おー」
最後にもう一度「ごめんね☆」と言い残し走って教室を出ていくみき。
「みきって委員会入ってたっけ?」
「確か」「入ってなかったような…」
二人で一つの台詞を言う瑛也君と葉月がおかしくてあたしは笑った。
「じゃー愛でも誘おっかぁ」
「おーいいよー」「人数が多いほうが楽しいしね」
「愛ーっ!愛-っ?」
あたしは近くにいた男子に「愛知らない?」って聞いた。
「あーあいつなら川島と一緒にトイレに行ってたぞ~」
「…?ふーん、そっか、ありがと☆」
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「…って事があったの」
「夏鈴…」
みきが瞳に涙をためてあたしを見つめている。
「夏鈴ちゃ…私のこと…嫌い…?」
「今は…好きになれない…。あたしとみきがどれだけ傷ついてどれだけ自分を責めたか分か
る?」
あたしが愛を見ると、愛は俯いた。
「ねぇ、愛。ひとつ、いいかな?」
みきがそういうと愛は顔をあげた。
「…」
「あたしと夏鈴が浴衣を買いに行くこと知ってたのは、どうして?」
「あれはね、ちょうど女子トイレの外にいたの。で、私も誘ってくれるかなって思ったら誘ってくれなかったからちょっといたずらした。ごめんね。」
「すっごく怖かったんだからッ…」