初恋 ―約束。―
「あ…亜美?来てくれたんだなっ」
ニカニカと嬉しそうに笑う葉月。
いつもの笑顔だけど様子が違う。
あたしのこと、「亜美」って呼んだよね。
「亜美?何言ってるの?あたしは夏鈴だよ?」
「かりん…?それはだれのこと、亜美?」
「―――――!!」
ガラガラ…
病室のドアを開けた。
「…よっ、葉月!調子はどうよ!?」
みきがハイテンションで言った。
「ありがとう…瑛也。亜美にあわせてくれて…。」
病室の空気が凍りついた。
「はぁっ?何言ってるの?この子は夏鈴よ?」
「葉月!!亜美ちゃんは…もういないんだよ…」
消え入りそうな声でそうつぶやくと
「ごめん。ちょっと二人っきりにしてくれる?」
といった。
あたしたちは病室を出た。