初恋 ―約束。―


「…夏鈴、行ってみよ?」


みきがそっと葉月の病室を指さした。



「……うん」





怖い

また亜美って呼ばれる?

もう

夏鈴って笑いかけてくれることは…ないの?




ガラ…


「葉月…?来たよ…」


「亜美っ!!さっきはごめんな?瑛也のやつ、亜美のこともういないとかふざけたこというんだぜ?今ここにいるのにな?」


ハハッと楽しそうに笑う葉月。


あたしも無理やり笑う。

笑顔がひきつってるかもしれないけど。


葉月のために笑う。



ポン、とあたしの頭をなでてから、

「俺が退院するまで毎日来いよッ?亜美♪」

とまた無邪気な笑顔で言った葉月。



だから…あたしは〝亜美〟じゃないよ…。


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