初恋 ―約束。―
姉貴はもうその時ぐったりとしていて動かなかった。
『亜美!!もう亜美って呼ばないから…目を開けてよぉ…お姉ちゃん!!!』
『ぅ…っ…』
姉貴はギュッと俺の手を握った。
『お姉ちゃん!もうすぐ救急車来るから!お願い!お姉ちゃん!また遊んでよ!!』
『ご…めんね……葉月…』
謝るのは俺のほうなのに、姉貴は最後に俺に謝った。
俺の手を握っていた温かい手はずるっと力を失い下に落ちた。
幼い俺にもそれがどういうことかは理解できた。
『おねえちゃぁぁぁんッ』
姉貴が息絶えてから救急車が来た。