初恋 ―約束。―


そのあと、真っ赤になって固まっているあたしを


葉月は小突いたり、

頭をたたいたり、


揺さぶったりしたみたいだけどあたしは全然気付かなかった。



やっと我に返ったのは手に持っていたあたしが食べようとしていた林檎を奪い取られた時。




「あぁっ!?林檎!!返して!!」


「やーだね♪」

「じゃもう皮むいてあげない!」


「別にいいよーだ!俺できるし♪」




葉月がそばにあった包丁を手にとって、林檎の皮をするするとむき始めた。



「ゎっ…うそでしょ?」


あたしがむいた皮よりも薄くて長い。



「俺、実は料理得意なんだぜ☆」


「…」


ポカーンと口を開けて林檎の皮を見つめるあたしにぼそっと葉月が何か言った。



「こんくらいできねーと瑛也(アイツ)に勝てねーだろ」



あたしはなんていったか聞こえずに「えっ?ごめん、もう一回」っていったけど、


「言うかよッッ///」って顔を真っ赤にして叫んだ。





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