流れ星のカケラ【完】
『卒業生、入場』
教頭先生の言葉で2人ずつレッドカーペットを歩いてく。
「げっ、お母さん達もう来てるよ。」
「美奈のお母さんって本当に元気いいよね。」
「優貴のお母さん達まだいないみたいだね。」
「このまま来なくていいかも。」
小声で話してると隣の男子に「もう少し静かに話せよ。」って注意された。
十分静かに話してるんですけど。
『このまな来なくていいかも。』
この言葉を言わなかったら
お母さん達は来てくれたのかな?
6年生全員が並び終わると校歌を歌いだす。
歌い終わったらやっと卒業式っぽくなった。
『卒業証書、授与。』
私と美奈は1組なのですぐにステージに移動する。
『大塚知美』
先生がそう名前を呼ぶと
知ちゃんが『ハイ。』と言って校長先生の前に行く。
「~小学校の課程を無事終了したことをここに証する。平成○年度3月19日。」
((おめでとう))校長先生は智ちゃんに卒業証書を渡す時にそう言った。
智ちゃんも涙目になってる。
その後も次々と先生が名前を呼んで卒業証書をみんながもらう。
『釘宮優貴』
とうとう私の番。
大きな声で「ハイ。」と言ってステージに行く。
智ちゃんに言った文と同じことを言って
私に卒業証書を渡してくれた。
((おめでとう))
この言葉で今まで泣かないと思ってた目に涙が溜まってきた。
本当に卒業しちゃったんだね。
校長先生に一礼してステージから降りるために振り返る。
お母さんたちに涙目のところ見られたくないなぁ…。
そう思いながら保護者席を見渡すけれど、
お母さん達の姿がなかった。