流れ星のカケラ【完】

『卒業生、入場』

教頭先生の言葉で2人ずつレッドカーペットを歩いてく。

「げっ、お母さん達もう来てるよ。」

「美奈のお母さんって本当に元気いいよね。」

「優貴のお母さん達まだいないみたいだね。」

「このまま来なくていいかも。」

小声で話してると隣の男子に「もう少し静かに話せよ。」って注意された。

十分静かに話してるんですけど。

『このまな来なくていいかも。』

この言葉を言わなかったら

お母さん達は来てくれたのかな?

6年生全員が並び終わると校歌を歌いだす。


歌い終わったらやっと卒業式っぽくなった。

『卒業証書、授与。』

私と美奈は1組なのですぐにステージに移動する。

『大塚知美』

先生がそう名前を呼ぶと

知ちゃんが『ハイ。』と言って校長先生の前に行く。

「~小学校の課程を無事終了したことをここに証する。平成○年度3月19日。」

((おめでとう))校長先生は智ちゃんに卒業証書を渡す時にそう言った。

智ちゃんも涙目になってる。

その後も次々と先生が名前を呼んで卒業証書をみんながもらう。



『釘宮優貴』

とうとう私の番。

大きな声で「ハイ。」と言ってステージに行く。

智ちゃんに言った文と同じことを言って

私に卒業証書を渡してくれた。

((おめでとう))

この言葉で今まで泣かないと思ってた目に涙が溜まってきた。

本当に卒業しちゃったんだね。

校長先生に一礼してステージから降りるために振り返る。

お母さんたちに涙目のところ見られたくないなぁ…。


そう思いながら保護者席を見渡すけれど、

お母さん達の姿がなかった。



< 11 / 319 >

この作品をシェア

pagetop