流れ星のカケラ【完】

「行ってきまーす!」

玄関から大きな声で言う。

ドアを開けて車庫に置いてある自転車へと向かい、

自転車に乗って漕ぎ出す。

「今更だけどもう、夏なんだよね。」

春は、いつも通る桜並木はピンク色に染まって風によって花びらが舞っていたのに、

今は緑のしっかりとした木で、

風が吹くたびに葉同士が擦り当たる音が聞えてくる。

さらに、蝉の声がところどころから聞えてきて、

''夏''ということをもっと実感させる。

蝉が鳴くと、もっと暑くなる…

という感じになる。

地上にいられるのはたった1週間。

その命の儚さに心を打たれる時もあるけど、

基本的に虫は嫌いだから触ろうとは思わない。

風守駅は、他の高校や、中学校、小学校と夏休みに入っているらしく、

ココナツランドに行ったときより混んでいた。

私は、風守駅の50m先にあるファミレスに行く。

今はお昼だし、

駐車場と駐輪場、両方共にたくさん置いてあった。

私は、自転車と自転車のわずかな隙間に自分の自転車を入れて留める。








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