流れ星のカケラ【完】
『優貴ちゃんでいいんだよね?』
突然、さっきの刑事さんじゃない人が声をかけてきた。
驚いたけれどすぐにコクンと頷く。
『俺は坂木 徹(サカキ トオル)って言うんだ。この事件を担当することになったんだ。』
''事件''
この言葉を聞くとまた実感してしまう。
『優貴ちゃん、声が出ないんだよね…。紙に書くと手も痛くなるだろうし、パソコンで打ってもらえるかな?』
坂木さんがいうと早速私は持ってこられたパソコンに
{分かりました。}と打っていく。
紙よりは言葉を言いやすいけど、
手は震えたまま。
『ゆっくり打っていいからね。優貴ちゃんはお父さんたちを最後どこで見たの?』
{家の玄関。}
『今日、卒業式だったんだよね?』
{はい。}
『来なかったのかな?』
{わかりません。}
わからない。だってただ見えなかっただけかもしれない。
たまたま私が見渡す時にいなかっただけかもしれない。
『じゃあ、最後にお父さん達と話した言葉は何かな?』
坂木さんの質問に一瞬止まってしまう。
素直にお父さんと話していれば…と。
{行ってきます。}
今以上に震える手。
お父さん、本当にごめんなさい。
素直に…
素直にしていればお父さん達はいたのかな。