流れ星のカケラ【完】
「優貴ちゃんっ!?」
坂木さんの声…。
私は、顔をそむけてまた走り出そうとした。
でも、坂木さんに腕を掴まれて、走れなかった。
「優貴ちゃん?何があったんだ?」
「な、何でもないんです!!ぶつかってすみませんでした!」
私は、坂木さんの手を無理やり離して、走り出した。
「いった…」
駐輪場に向かう途中、石に突っかかって転んでしまった。
じんわりと、右膝に血があるのがわかる。
「ふざけないでよ。なんで私ばっかりこんな目に合わなきゃいけないの?」
神様の不公平。
わからずや。
どうして私ばっかり…。
やっと、やっと本当に生きるのが楽しいと思えたのに。
大切な仲間だってでいたのに…。
そして、初めてした恋なのに…。
初恋は叶わないものなの?
そんなの嫌だよ。
立ち上がって、スカートについた土を払う。
「痛っ…。」
膝だけじゃなくて、捻ったんだ。
足を引きずりながら駐輪場から自転車を出して扱ぐ。
扱ぐ度に、膝が曲がるから痛い。
でも、捻っているから、歩くにも遅いスピードでしか歩けない。
一刻も早くここから離れたかったから、
自転車を扱ぐしかなかった。