流れ星のカケラ【完】
「じゃあまず始めにグラウンド2周してくれ。」
先生の言葉にみんなが整列して走り出す。
走ってる時って気持ちがいい。
背筋を伸ばして、リズムよく呼吸をして、
足を動かす。
走っているうちに自然と風と一体になった感じで気持ちがよくなる。
「…あれ?」
気づくとみんなの列から離れてもう走り終わっていた。
「釘宮、いい走りだがちゃんと列を見るようにな?」
「はい、すみません…。」
なんかハズイ。
一人でササッと走ってきちゃうなんてさ…。
みんなの視線がなんか怖いような感じするもん。
『何あの子…』ってね。
でも、今回の私の予想は外れた。
『釘宮さん、すごい気持ちよさそうに走ってたから私も気持ちよく走れたかも。』
『いい走りだし…陸上部に入らないの?』
「うん。部活には入らないつもりなんだ。」
部活動をしている時間があるなら勉強に回したい。
でも、嬉しかった。こんな風に今までだったら言われても
「あっそ…」・「そっか。」とかしか思わないと思う。
『人は一日で変われる生き物なんだよ。』
よくアリウッドの日本女優さんが言ってた。
そんなこと、信じてなかった私が今は恥ずかしく感じる。
聖のおかげで、
信じることができたの。
人は一日で変われる生き物ってことを…。
でも、その''変われる''という言葉は、
悪い方にも変わってしまう。
だって聖はもうこの世にいないんだもん。
星となってキレイに輝いてるんだもん。
その日を境に私はまた心を閉ざしたんだ。
「適当に男女別の各5人のチーム作ってくれ。」
「優貴、一緒にやろ?」
「勿論だよ!」
「釘宮さん、私たちもいいかな?」
目の前にいるのはスポーツが得意そうな女子3人。
「うん!よろしくね?」