流れ星のカケラ【完】



あれは忘れもしない小学6年生の時。

「優貴、ちゃんと着替えた?」

「うん♪」

今日は卒業式。

いつも以上のおしゃれをしている私。

「優貴、写真撮るからコッチ向いて??」

お父さんが私の姿をカメラに写そうとするけど

私は「嫌だ。」と言って拒む。

今からすればあの時素直に写真を撮っておけばよかったと後悔の気持ちが押し寄せる。

「もう、せっかくなんだから撮ってもらえばいいじゃない。」

「嫌なものは嫌なんだもん。」

「じゃあいいよ。体育館で入場する時とかたくさん撮ってやるからな?」

「えー…」

もうなんでそんなに娘を写真に写させたいのだろう…。

景色とかをお父さんが撮ってる方が好きなのに。

お父さんは有名なカメラマン。

世界でも名が知られているほどのね。

お父さんの名前は釘宮千鶴(クギミヤ チヅル)でお母さんの名前が釘宮優華(クギミヤ ユウカ)。


''ピーンポーン''

写真について言い合ってると家のチャイムが鳴った。

「美奈ちゃんじゃない??」

「そうかも。お母さん、行ってくるね?」

「いってらっしゃい♪お父さんには言わないの?」

「だって…ね?とにかく行ってくる@@@」

「あっ、卒業式終わったら校門前で待っててね??」

「分かったー。」

もう、何回後悔すればいいんだろう。

これでお父さんとお母さんに会うのは最期なのに…。

お父さんにつまらない意地張ってないで素直に

『行ってきます』

この言葉が言えてたらどんなに楽だったことか…。





< 8 / 319 >

この作品をシェア

pagetop