初恋は雨




次の日



天気はびっくり
するような快晴。


心まで晴れ晴れしてくる。


「今日も会えるかな…」


期待をこめて大通りに
出る。


けど


あなたはいなかった。



「そういえば…
名前すら知らないな…」



もう、会えないのかな。
あの綺麗な瞳に。





スタジオが目の前に
見えてくる。


壁一面につたの
生い茂った、
洋館みたいな家。


もうしばらく人は
すんでなかったみたい。


キシキシとなる
ドアを開けて中に入る。



まだ誰も来てなかった。



私達が食べたお菓子の
袋があちこちに
散らばっていた。



私は白い机に座って
歌詞をつけ始めた。


『あなたは雨みたい
会いたいのに
降った後は
消えてしまうのね

会いたいのと思うのは
あなたが大好きだから

あなたが大好きだから
あなたを失いたくない』



かきながら。
あの男の子を思い出した。


…なんでだろ。
昨日一瞬話した
だけなのに。



こんなにも心に
残っているなんて。


私だって今まで
人並みに恋はしてきた。

彼氏だっていたし、
キスだってした。



けど。


みんなうわべだけで。
信用なんてしてなくて。


私はなにを恋と
呼ぶのか

イマイチわからなかった。



「あれっ??あんなが恋の歌詞かくなんて珍しいじゃん」


いつの間にか入って
きていた美咲が言った。


「とうとうあんなも恋したかあ?」


面白そうに美咲が笑う。


そりゃ美咲はいいよね。

付き合って2年になる
拓也っていうかっこいい
彼氏がいるんだから。


美咲は可愛い。
茶髪で髪はふわふわ。
笑うと見える八重歯
がとっても可愛い。




それに比べて私は…



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