初恋は雨
「なに、あんな黙りこんで…まさかほんとに恋しちゃったの?」
少し真面目な顔で
私の顔を
覗きこんでいる。
「ちっ違うよお…」
真っ赤になる。
私ったらすぐ
顔にでるんだから。
「なんだあ〜嘘つくの下手だなあ」
おかしそうに美咲が笑う。
「うっ…うぅ〜…」
私は顔を真っ赤に
しながらあの雨の日の
話をした。
「へ〜え…あんなが一目惚れね…」
驚いたような
感心したような顔で
美咲は何度も頷いた。
「やっぱ、今後話しかけなよ!それが一番だね!」
八重歯をにっと出して
美咲が笑った。
話しかける、ね……
まず、もう会えるか
もわからないのになあ。
練習も終わって、
家に帰る。
帰り道、お地蔵様が
立っていた。
「…明日は会えますように」
静かに手を合わせた。