初恋は雨
ーじりりりり
朝不快な目覚ましの音で
目が覚める。
大きなあくびをして
カーテンを開けた。
ー…あ、雨…
嫌だな。
また、憂鬱な気分になる。
もう、練習なんて
行きたくないな。
でも、ライブ近いし。
私はげんなりしながら
支度を始めた。
「いってきま〜す!」
お母さんに声かけて
靴をはく。
「いってらっしゃい。今日も練習?」
「うん。」
「…たまには高校行くのよ?」
お母さんはため息
混じりに苦笑いした。
お母さんは私が
バンドやってることに
ついて何も言わない。
私にはお父さんが
いないぶん、大目に
見てくれるんだと思う。
私のお父さんは
私が生まれる前に
いなくなったって
お母さんは言ってた。
「はいはーい!じゃあいってくるね」
適当に返事して
家を出る。
傘をさして、
ギターをかつぐ。
ふぅ…
こんな憂鬱な日は
あの人には会えない
ような気がする。
ただの予感だけど。
広い道にでたその時。
「あっ…」
思わず、声を
出してしまった。