初恋は雨
あの男の子だ。
また、傘をさして
バス停に立っている。
急に、心臓がドキドキ
いってきた。
ー話しかけなきゃ。
美咲の言葉が頭に
浮かぶ。
「あっあのっ!」
考えるより先に
言葉がでた。
相手は少し驚いて
こちらを振り向く。
「あ、君はこないだの」
ニコッと笑ってそういった。
…私のこと、
覚えててくれたんだ…
それだけで心臓が
ドキドキいってる。
「あっあの…私、宮崎あんなっていいます!」
「…僕は篠田メイ。よろしくね」
また、君が笑った。
世界が止まった気がした。
ブロロロッ
バスがきた音で
我にかえる。
「じゃあ、バス来たから。」
軽く手をあげて
バスに乗った。
走りさっていくバスを
傘をさしながら
ボーッと見ていた。
ー…篠田、メイ…
私はそこに立ち尽くした
まま、雨の音を聞いていた。