*ビターチョコレート*
私も負けじと小野崎のことを睨む
小野崎は近くに置いてあったさっき借りてきたDVDを手にし、わざとらしく眺めた
そして鼻で笑う
「ふ~ん、DVDね~。ほんとに見るんだかどうだか知らねえけど。兄貴、俺出かけてくるわ。隣の部屋から気色悪い声聞こえてきたらたまんねえよ。想像しただけで吐き気がする」
そんな小野崎の言葉にいらっっときた私は立ち上がる
「何を考えてそんなこと言ってんのか知らないけどね、先輩はあんたとは違うの。それにあんたには関係ないでしょ」
そんな言葉に小野崎の表情は変わる
見たこともないような怖い顔をしたと思ったら
私から目を反らし肩を落とした
「そうだな、俺には関係ねえな。てめえが何しようが関係ねえ。まだ何回かしか会ってないてめえが、兄弟の俺よりも兄貴のこと知ってるってか??」
そんな言葉に黙り込む私
先輩は困ったような顔をし、小野崎をなだめた
「まあまあ、奏、落ち着けって。今日はどうしたんだよ。柚子葉ちゃん?そろそろ部屋行こうか??こっちだからついておいで?」
先輩は私に笑いかけ、笑顔を見せた
私は小さく頷き、先輩が階段を上り始めたころ私も急いでついて行こうと歩き出した
小野崎の近くを通り過ぎようとしたとき
私は小野崎を見ないように下を向く
リビングから出ようとしたときグイッと掴まれる腕
私は立ち止まり
「痛い、離して」
それだけ言う
それでも離さない手
私はイライラして小野崎を見上げると言葉が出なかった
想像していた小野崎の表情とまったく違ったから
何でそんなに寂しそうな顔をするの
「兄貴と、、付き合いてえなら今日は絶対何もするな」
それだけぼそぼそっと話し小野崎は私の腕を離し、家から出て行った