*ビターチョコレート*
目を開け、そっとカーテンの外を見るとすでに暗くなっていた
あの後そのまま二人で寝てしまった
終わった後、先輩は私に背を向けてすぐに寝てしまった
私は起こさないように先輩の背中に寄り添いながら眠った
何だろこの気持ち
すごく嬉しいんだけど
すごく悲しい
私は起き上がり、ワイシャツを着てボタンを一つずつしめた
そんな時先輩は起き上がり、私のほうを見た
「おはよう。寝ちゃったね??退屈だった??」
そう心配そうな顔をする先輩
よかった、いつもの先輩だ
私は首を振り、笑顔を作る
「私も寝ちゃってました。二人でお昼寝って何だか幸せです。」
先輩も嬉しそうに笑う
「先輩、私先輩のこと大好きです。柚子葉、先輩の彼女になれるんですか?」
当たり前のことを聞いてるかもしれないけど
ちゃんと先輩の口からも言ってほしかったから
先輩は微笑んだまま私に寄り添い頭を優しく撫でた
「僕、今彼女は欲しいとは思わないんだ。でも柚子葉ちゃんのことは本当に可愛いって思うし、一緒にいて落ち着くんだ」
私は呆然としたまま先輩のことを見た
「そんな悲しそうな顔しないで??もう僕のこと嫌いになっちゃった??」
私は目を反らして首を振った
「違くて、えっと、、、なんていうか…柚子葉先輩と付き合いたかったから…」
先輩は私をそっと抱きしめる
「僕もね、彼女欲しいと思えたら柚子はちゃんと付き合いたいって思うよ。でも今は受験のこととかで頭がいっぱいで彼女を作る気になれないんだ」
そんな言葉に私は頷き、先輩の背中に腕をまわした
大丈夫、
大丈夫、
遊ばれてなんかいない
こんなに優しくて
こんなに私のこと見てくれてる
きっと受験が終わったら
きっと落ち着いたら
先輩の彼女になれる
私は何度も自分の中で繰り返し言い聞かせた