*ビターチョコレート*


トイレの前のベンチに腰掛け目を瞑る
思い浮かぶのは兄貴に見せるあいつの笑顔





授業中も休み時間もいつも幸せそうな顔をしたり
悩んだり、喜んだりいろんな表情を浮かべていたあいつ





でもそれは全て兄貴のための物であり
そんなものを見て俺はあいつを好きになった
ばかばかしい。





「奏、、くん??」






すぐ横から聞こえてくる弱弱しい女の声
俺は目を開け、横目で見た





「大丈夫??気分悪いの??」




セミロングくらいの長さできれいにワンカールしてある髪型にまあまあ整った顔立ち
清楚な服装。多分さっきの部屋にいた女だろう





「別に。ただ休んでるだけ」






「そっか。なんだかずっとああいうところにいると疲れちゃうよね?私もちょっと頭痛くなっちゃって出てきちゃった。」





そう疲れた表情を見せながら話す女





「おれ、もう出るわ」





そう立ち上がると女は一緒に立ち上がる




「私も体調あんまりよくないし、、、一緒に出ようかな、、いい??」






そう上目使いで俺を見上げる女






俺は歩きながら「勝手にすれば」それだけ言った






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