*ビターチョコレート*
「は?意味わかんね、何?」
そういつもの冷たい口調で返すとあいつはまだニコニコしている
「柚子葉楽しそうじゃない?」
「まあ、おまえはいつも楽しそうだよな」
「それは恋のおかげ!!恋すると、その人のこと考えるだけで、こう嬉しくなるだから!!」
机にひじをつき、顎に手を当て、少し上を見上げてニヤニヤするあいつ
「へ〜。で、お前は恋してるわけ?」
そんな俺の質問に今日で一番の笑顔で大きく頷く
「恋、してるよ!!」
また、時が止まる
胸の奥の方がグッと何かに潰される
こんなにも
人の幸せそうな顔が
自分の気分を損ねるものか
俺は何もいわずに席を立ち、あいつに背を向ける
「ちょっと、あんたもう授業始まるよ?どこ行くの?」
そうあいつの声が遠くの方から聞こえる
「トイレだよ、悪いか」
それだけ言い、教室をでた