私がヒールをぬいだ時
くにっちがもってきた軽自動車は、まあまあ綺麗な比較的新しい形の物だった


『タカアキのツテでワゴン車買う事にしたんや。仕事用にも、遊びようにもなるやつ』


『子供もできるかもしれんしな…。もう車は来てるん?』


『納車は明日。また丸ちゃんみせにくるいうてたわ。マツ一番先に乗せたいみたいやから』


私は持ってきてくれた車に乗ると、くにっちを家まで送った


丸美夫婦には借りができてしまった。何かで返さなきゃね


そんなある日、私はある男と20年ぶりに再会した…


つかさに教えてもらったハワイアンカフェに行った時だった


店は綺麗で店内は木の家具で温かみがあった


大画面のテレビにはフラダンスが写しだされ、すごく癒される場所だった


『スパムプレートと、あとでヘーデルナッツコーヒーお願いします』と注文した


ハワイにはもう3年は行ってない。もし今年休みが取れたらいってみようかな…雑誌を読みながら、いろいろ考えてみた


お客さんが入ってきた。近くの農家の人っぽかった


『ロコモコにアイスコーヒーや』と頼んでいる。結構常連さんみたい


スパムプレートがやってきた。ハワイ並のボリュームがあった。でも美味しい


食べてる時、ふと、男性と目が合った


彼が言った『ひかるか?』と…


私は初め、彼がわからなかった


『俺や、青木新伍や』


私はびっくりした!暴走族してたあの青木新伍


歳は一つ上だが、学年は同じだった中学時代は鑑別所にも入っていた


あの頃はリーゼントで私は少し憧れてて、走る姿見に行ったこともある


でも今は、日焼けしてる顔に伸びた髪が目にかかっている。農作業用のツナギを着ていた。すっかりあの頃とは違っていた


『久しぶり、新伍』


『東京ちごたんか?お前』

『6月の半ば、G市帰ってきてん…』


私はドキドキしながら新伍と話しした
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