私がヒールをぬいだ時
『立花さん、この子私の妹であゆむっていいます』


『坂口あゆむです…』


『まだ大学生でね、夏休みで帰ってきてるんよ』


『そうなんや、どこの大学いってはるの?』


『大阪芸大です』


『うちのバイトさんも芸大出身やわ…よろしくね』


『あゆむったら愛想ないんやから…だから新伍ちゃんと気が合うんやな』
とありささんは笑う


『愛想無しで悪かったな。はよビール持ってこいや』


『はいはい』


他の友達は肉や野菜を焼き始めていた


私は紙皿に焼肉のタレを入れてみんなに配った


なんか…やっぱりビール飲みたいシチュエーションだなぁ


『ひかる、もっと食べろ』と新伍はどんどん肉を入れてきた


『わかってるよ〜新伍も肉ばっかりちごて、野菜も食べや』


『ほんならピーマン以外入れてくれ!』


『なんや、まだピーマン嫌いなんか。あかんなぁ』と私は笑った


その時、なんとなく私に向けられる視線があった


あゆむちゃんだ…きりっとした顔が私に向けられていた


少し怖い顔だった…


夕方、後片付けも終わり、私達は一台のワンボックスに荷物を積み込んでいた。私は缶を集め、袋に入れていた


その時あゆむちゃんが私のそばにやってきてこう言った


『新伍兄ちゃんはうちの好きな人やから。あんたには渡さへんで』


私はびっくりして缶を落とした


『ひかる、空き缶もこの車入れろ!』と新伍が呼んだ


私は慌ててその場をさり車のところにいき、空き缶を乗せた


あの子…新伍が好きなんだ。でも比べたら若いあゆむちゃんが有利に決まってるじゃない


私はただの同級生なんだから
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