私がヒールをぬいだ時
翌日二人は朝1番の特急に乗って帰っていった


彼らを送り、私は駅前のコンビニで雑誌を買った


来月東京か…なんとなくブルーな気持ちになった


顔は合わせはしないだろうけど…惨めな自分を思い出す


私は家に帰り、新伍に電話した


『なんや、ひかる。こんなはように』


『忙しかったら切るし』


『いや、かまへんよ。出ていくのは昼からやから』


『来月の25日からしばらく仕事で東京いくねん』


『東京…帰ってくるんか?』


『当たり前やん、祭までには帰ってくるし』


『仕事の話しされると…なんやらひかるが遠くに感じるんや…』


『私は…ちゃんとこの町におるよ』


『会いたい、お昼あのカフェで待ってるわ』


『うん、11時くらいに行くわ』


そう約束して電話を切った


別に付き合っている二人でもないのに…


会いたいなんて言われたら自惚れる


私は時間を待って車に乗り込んだ


カフェには新伍がもう座っていた


『お待たせ。なんか頼んだ?』


『カレーとアイスコーヒー』


『じゃあ私も…』と同じ物を頼んだ


『昨日は如月で担当者さん達と食べてきてん』


『気に入ったんやな』


『うん、美味しいし安いもん』


『東京は楽しいか?』


『去年までは楽しかった…G市に帰るつもりもなかったし…でも居場所無くなってん』


『なんかあったんか?』


『婚約どたキャンされた』と私は笑った


『だから帰ってきたんか?』


『それだけじゃないんやけど…悩んで悩んで、G市とったんよ。親の事も心配やったしな。落ち込みながら東京おるよりG市帰ろうって』


『帰ってきてどないや』


『正解だったかもしれん』


『なんでもいうたらええからな。俺が助けたる』


新伍の顔が頼もしく見えた。新伍の笑顔は私を癒してくれる
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