私がヒールをぬいだ時
『ひかる…ずっとこうしたかったんや。付き合ってとかはいわへん。お前の邪魔になるやろうから』


『邪魔やなんて…私はそんな偉い女違うし』


『あゆむが俺にあんな感情抱いてたやなんて、正直気付かんかった』


『私みたいに汚れてない。純粋で眩しい子やわ』


『ひかる…35にもなったら誰かて汚れたもんは持ち合わせる…誰でもや

俺は25の時、結納までかわした女おったんや…見合いだったんやけど。ところが荷入れの日になって、彼女が他の男と駆け落ちした

それを子供やったあゆむが見てしもたんや

それからや、新伍兄ちゃんは私が守る!言い出して…まあお前と同じような経験、俺もしてるわけや』と新伍は笑った


『そうやったんか…えらい目におうたな…』


『その時にな…荷物整理してたらお前のノートでてきてん。俺が鑑別所いったとき、ずっと書いてくれてたノートや』


『まだ置いてくれてたん?』


『ずっと持ってた。しばらく存在忘れてたけど、あの事件の後、毎日ノート眺めて中学時代のお前思い出してたわ』


『私な…新伍があの時見てくれなかったやろ?放課後教室で泣いてたんやで』


『知ってる…傷つけたな…っておもた』


『見てたん?』


『うん…』


『なあ…新伍。私には今この町しか居場所ないんよ。仕事もまた居場所なんよ…欲張りかもしれんけど…心の居場所は新伍にしてもらわれへんかな…』


『ああ…ええよ。こんな歳やからこそ、いい付き合いできる。結婚は意識するかもしれんけどな』


『うん…なんとかなると思う、私達』


『ならなあかんよ』


このあと二人で一緒にお風呂に入り、もう一度キスをした


私はこの人を愛してる
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