私がヒールをぬいだ時
この日を境に、時々私達はこっそり会って愛し合った


9月に入り、田んぼも黄金色になってきた私は東京にいく支度をしていた


伸びた髪にパーマをあてようと山本さんの店にいった


『いらっしゃい、ひかるさん。今日はどうします?』


『パーマあててください。大きめのカールにしてもらおうかな…後は任せます』


『わかりました』


『かなり伸びたからパーマがいいかなって』


『いろいろアレンジできるし、楽ですよ。あ、東京いくらしいですね』


『25日にね、祭までには帰ってきますわ』


『さすが!町の血が流れてますね』


『ひかるさん、ハワイアンカフェに行ってるでしょ?時々車見かけるんですよ』


『結構お気に入りなんよ。私あんな雰囲気大好き』


『あそこのオーナーは俺らの同級生なんです。家具は全部ハワイから取り寄せたんです。後週に二回、フラダンス教室もやってます』


『本格的なわけやね、私もあの家具に癒されるんよね』


『ガーリックシュリンプ食べましたか?』


『ううん、まだ』


『是非食べてください。はまりますよ。メニューは結構豊富だし、遠方からもお客さん来てるみたいです』


『あれだけこだわったら口コミでくるやろね』


『康子ちゃん、前にフラダンス通ってたみたいですよ。でも才能ないから辞めたらしいです』と山本さんは笑った


『そうなんや』と私も笑った


おしゃべりして、あっという間に私のパーマは完成した


『いい感じ、気にいりました』


『ありがとうございます』


『これでオシャレして東京行けるわ』


家に帰り、私は自分の写メを新伍に送った


【似合ってる。若くなった】


メールまでぶっきらぼうである

お母ちゃんや丸美達からも評判はよかった


そして25日、私はタクシーで駅までいき、特急を待った
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