私がヒールをぬいだ時
田舎者で結構!
駅には新伍が迎えに来てくれていた


『お疲れさん』

『ただいま』

私は軽トラの後ろに荷物を乗せた


『これな、東京のお土産…大好きなTシャツの専門店あって、そこにラッシュガード売っててん。まだジェットするやろ?よかったら着て』


『ありがとう。大事に着るわ』


『あと…お父さんと食べて。アサリの佃煮』


『そんなん気つかわんでええのに』と新伍は笑った


車はそのまま私の家に向かった


『じゃあ今日はゆっくり休みや』


『ありがとう、おやすみなさい』


『おやすみ』


走っていく軽トラを見送って、私は家の中に入った


『ただいま』


マツが飛び出してきた。早く上がれと私を引っ張る


『今日はお前にもお土産あるんよ。とっておきのオヤツやで』


今日は丸美達も休みで、うちにきていた


『お帰り、姉ちゃん。テレビみたで!キャスティングすごいやんか』


『ほら、これ中村トーイと春田のばらのサイン。店にでも飾っときや。あと二人には店で着るTシャツや。お父ちゃんには仕事に着て行くジャンパー、お母ちゃんにはバック買ってきたから』


『生サイン!ありがとうあれ!このTシャツ店の名前入ってる、ええやん姉ちゃん』


『バイトさんにも揃いで買ってるから。渡しといて』


『このオヤツはマツのや。食べてみ』と私は袋を開けてマツに食べさせた

気に入ったのか何回もお代わりする。キリがないのでマツのオヤツ棚に、オヤツを入れておいた


『なあなあ、やっぱり東京よかったやろ?帰りたなったんちゃうか』と丸美が聞いてきた


『まあ…懐かしかったけど…この家が一番やとおもたわ』


『ひかるちゃんは好きにしたらええんよ。まだまだ結婚のチャンスもあるし…あ、ひかるちゃん!忘れてた、あのな丸ちゃん妊娠したんや』


『ええ?ほんまに!』


『うん、妊娠二ヶ月。来年の5月が出産予定日やて』と恥ずかしそうに言った


『よかったな、ほんまによかった…大事にせなあかんで』


母子ともかなり健康で、臨月までは働くそうである
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