私がヒールをぬいだ時
祭がやってきた。一日目は私の家の近くで行われ、二日目は神社で行われる


S会館の前で行われるのでお父ちゃんは忙しくなる


私の家ではおでんを大量に炊き、祭関係の人や知り合いの人がやってきて食べにきた


私は合間をみて、祭を見に行った。同級生や妹の友達に会って、懐かしい気分になる


露店でタコ焼きや鯛焼き、イカ焼きを買って持って帰った


家には妹達が友達とおでんを食べている


『丸ちゃん、今チカにおうたで。エステしてるから姉ちゃんきてよ、言われた』


『そうよ、自宅改造してエステの店してるんよ。姉ちゃんも月に何回かいったってや』


『そんなんG市にあるんがびっくりやわ。まあ祭終わってからいてくるよ』


『私は今年は祭はチラ見や。なんかあったらいややし』


『そやな、今年は我慢しとき。来年は子供といったらええんやから。くにっちはさげてるんか?』


『もう無理すんなやって言うたんやけど、四太鼓の屋台さげな男ちゃうとかいうて…』


G市の祭はいくつかの屋台に乗り子と呼ばれる神童が四人乗り込み、太鼓を叩いていく。それを若い男衆が担いで練り歩くという祭である。組事にしし舞もあるし、迫力満点の祭だ


私は再度、祭を見に行った


その中にあゆむちゃんがいた。友達と一緒に見てる


『あゆむちゃん』と私は声をかけた


『あ、ひかるさん』


『うち、この近所なんよ』


『そうなんですか…あの…新伍兄ちゃんからはいろいろ聞いてます』


『なんや、悪口か?』と私は笑った


『ひかるは俺が今一番大事にしてる女やって』


私は少し照れた


『大人にはそれなりの事情があって付き合いしてる、これからの事は俺ら二人の問題やから、あゆむは心配するなって』


『そんな事言うてたん…ちゃんと考えてくれてるんや…』


『新伍兄ちゃん、よろしくお願いします』ぺこりと頭を下げると、あゆむちゃんは友達の元に戻っていった
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