私がヒールをぬいだ時
翌日は丸美達も来て賑やかな正月になった


マツもご機嫌である


最近、マツの散歩はくにっちがいくので彼の側を離れない


そして新伍を気にいってるのか遊んでとせがむ


『うちは昔、紀州犬飼ってたんや。だから犬には慣れとる』とマツと遊ぶ新伍


犬にはとびきりの笑顔を見せる。なんだかマツにヤキモチを妬いた


東京での正月は…今考えると馬鹿騒ぎしてただけだ。二日酔いになるまで飲んで、また仕事をする


そんな繰り返しが当たり前に思っていた


でも違う、田舎では一日一日がとても大事で当たり前なんて日は一日たりともない


親がいて、丸美達がいて、新伍がいる


だから仕事ができる


そんな有り難みが胸に満ち溢れている


私は仕事を少し減らしてでも、新伍に尽くしたいと思った


心の中で、ハイヒールを履いたりぬいだりしている


自分のヒールをぬぐ時は、新伍と一緒にいる時、家族と過ごす時である


そのうち、ヒールを履かなくても生活できる日が来ると思う…


いつになるかわからないけど
< 63 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop