私がヒールをぬいだ時
こっちに帰ってきたからには、ストーリー諸々、何ヶ月も先の事考えて仕事しなきゃいけない


東京にいた時みたいに、ぎりぎりなんて絶対許されない。それを迫られたら東京に行き、ホテルに缶詰にならなきゃ…


私のわがままで田舎に帰った以上、出版社にだけは迷惑かけられなかった


立花ひかる…35歳の夏だから…


昼過ぎに丸美が迎えに来てくれた


可愛い軽自動車に乗ってるが…車体に『まるくに屋』と電話番号が書かれてあった


さすかは商売人である


『姉ちゃん、髪どんなにするんよ』


『ショートにするねん、気持ちいいやろ?』


『え〜こんなに長いのに?勿体ない!』


『シャンプーとか面倒やってん。先傷んでるしな。そういうたらあんたもうすぐ30になるな』と私は笑った


『7月で30代突入やわ…』


『あんたはええがな…結婚してるし、子供もこれからや』


『子供できるんかな…結婚して5年になるけど…なんかできる気配いっこうに無しやわ〜姉ちゃんは結婚は?』


『一生独身かもなあ…もうええねん。仕事だけが頼りやわ』


『なあなあ、姉ちゃんの漫画で【エリート物語】映画化なるってほんま?』


『みたいやな…私もあんまりしらんねん』


『なんや、人事みたいに』


『どっちみち俳優さんとかは映画会社決めることやし…誰でもええんやったらサインだけもうてきたるわ』


『ほんまに?やったぁ!小栗旬とかやったらええのに!』


おいおい、私のイメージは成宮寛貴だぞ!
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