澁澤雑文店-澁澤わるつ短編集-
地雷の彼女
彼の中には地雷が埋まっていて、どうかするとドンと爆発してしまう。

爆発したが最後、謝ろうが何をしようが聞く耳をもたず、機嫌が直るのを待つばかり。

機嫌が直ってしまえば、自分が怒ったことなどけろりと忘れて

「なんでメールくれないの?」

なんてしれっと言う。


困った人だ。

困るけれど、それが私の好きな人だ。


彼が海外出張に出る前日、また地雷を踏んだ。

多分、死ぬ程忙しい彼に『同じ事を二度聞いた』のが地雷原らしい。

メールに「お前みたいなしつこいのとつきあったのが間違いだ!」の言葉を残したまま、出張に行ってしまった。

どうせまたすぐ機嫌は直るだろうけど、このまま機嫌が直らなかったら……と不安にもなった。
< 18 / 23 >

この作品をシェア

pagetop