澁澤雑文店-澁澤わるつ短編集-
「鞠子!!!!」
銃声の間から、聞き覚えのある声がした。
あわてて声のした方角に向かう。
透。
その肩越しに、身体中が青白く膨れ上がり、だらりと長く血の滴る舌をたらした、化け物がいた。
それはかつて鞠子だったもの。
ぎこちない歩みを進めている。一歩を進めるごとに腐臭が漂う。
それでも透は鞠子、鞠子と涙声で呼びつづけた。透がそれに手を伸ばそうとする。
その、のばした指の先から。獣の唸り声が聞こえた。
私は透が触れるよりも速く獣に近づくと、至近距離から、サブで持っていた散弾銃で、頭を吹き飛ばした。
肉のかけらが雨のように私達の上に降ってくる。
頭を失くしてもなお蠢く身体を蹴り倒すと、横たわる身体に二発、三発と打ち込んでとどめを刺した。
私達はいつものように三十一体の『彼ら』を全て始末し、火をつけた。
透はぴくりとも動かなかった。
感情が抜け落ちたかのように、ある意味『彼ら』のように、立ちつくしていた。
上官が私に無言で、連れて行けと指示をする。私は命令されるがまま、透の背後に近寄った。
「透・・・・・・上へいこ・・・・・・」
銃声の間から、聞き覚えのある声がした。
あわてて声のした方角に向かう。
透。
その肩越しに、身体中が青白く膨れ上がり、だらりと長く血の滴る舌をたらした、化け物がいた。
それはかつて鞠子だったもの。
ぎこちない歩みを進めている。一歩を進めるごとに腐臭が漂う。
それでも透は鞠子、鞠子と涙声で呼びつづけた。透がそれに手を伸ばそうとする。
その、のばした指の先から。獣の唸り声が聞こえた。
私は透が触れるよりも速く獣に近づくと、至近距離から、サブで持っていた散弾銃で、頭を吹き飛ばした。
肉のかけらが雨のように私達の上に降ってくる。
頭を失くしてもなお蠢く身体を蹴り倒すと、横たわる身体に二発、三発と打ち込んでとどめを刺した。
私達はいつものように三十一体の『彼ら』を全て始末し、火をつけた。
透はぴくりとも動かなかった。
感情が抜け落ちたかのように、ある意味『彼ら』のように、立ちつくしていた。
上官が私に無言で、連れて行けと指示をする。私は命令されるがまま、透の背後に近寄った。
「透・・・・・・上へいこ・・・・・・」