【短編集】フルーツ★バスケット
首だけを動かし部屋が一夜にして、模様替えされていると感じた。
違う。
あたしの部屋、じゃないよね。
部屋の香りは、いつものフルーテイとは程遠く、クールミントの香りにブルーのカーテン。
「お前、帰れるか」
帰れるも何も、
「此処……何処?」
「はぁ?」
だって、初めて見たところだもの。
そう、私の記憶している最後の場所と違う。
それとも、あたしが自分の意志で此処に来たっていうの?
信じられないよ。
狐につままれた顔をしたら、逆に怒ったように、ものすごく眉間にシワを寄せていた。
だけど、その後心配してくれている眼差しで真っ直ぐに向けられた。
「……ったく。
ホントに覚えてねえのかよ」
だから、覚えてるって。
自棄酒飲んで、香苗に家の近くまで送ってもらって……
雪が降ってきたのを確認して──
そう、雪を手に取るように見ていて、
見てたら?
──
──
──
その後の記憶がない。
「何があったか知らねえけど、あんまり思い詰めんなよな。
とりあえず、何か着れば?」
えっ!?
目の前の人に言われ、初めて布団の中の自分の姿を確認した。
これって──?
あ、あり得ないんですけど?
一糸纏わぬ、生まれたままの姿に言葉を失った。